2008 Fiscal Year Annual Research Report
文化的価値と素人社会理論:適応的ヒューリスティックと協力行動の文化比較
Project/Area Number |
08J05455
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三船 恒裕 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 社会的価値志向性 / 公共財ゲーム / 独裁者ゲーム / 囚人のジレンマゲーム |
Research Abstract |
平成20年度は,一般人を対象とした実験を4回行った。第一回目の実験では社会的価値志向性を測定した。次に、第一回目の実験に参加した人を対象に、第二回目の実験では公共財ゲームを、第三回目の実験では独裁者ゲームを、第四回目の実験では囚人のジレンマゲームを実施し、参加者の協力傾向を測定した。また、第三回目と第四回目でも社会的価値志向性を測定し、その安定性を検討した。結果、社会的価値志向性は約70%の一貫性を示したものの、社会的価値志向性と協力行動との相関は公共財ゲームでr=.27、独裁者ゲームでr=.08、囚人のジレンマゲームでr=.23と低い値を示した。これは価値アプローチにおける協力・利他行動を説明の限界を示している。現在、これらのサンプルを用いて、協力行動の説明となる、人々が持つ素人社会理論を測定する尺度を構築している。 また、素人社会理論と適応論的立場を共有するヒューリスティックアプローチをさらに前進させる実験を行った。具体的には、人々が「他者からの監視」に敏感に反応して利他行動を生じさせるとするHaley&Fessler(2005)の研究を基に、この監視への敏感性が内集団成員に対しては働くが外集団成員に対しては働かないことを最小条件集団状況における独裁者ゲームを用いて実証した。また、集団内への利他行動における男女差に注目し、男性は女性よりも集団内の結束を示すための協力行動を生じさせることを実証した。これらは素人社会理論に通じる適応論アプローチの妥当性を示すものである。
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Research Products
(8 results)