2009 Fiscal Year Annual Research Report
文化的価値と素人社会理論:適応的ヒューリスティックと協力行動の文化比較
Project/Area Number |
08J05455
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三船 恒裕 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 社会的価値志向性 / 信頼ゲーム / 最小条件集団 / 囚人のジレンマゲーム / 社会的賢さ尺度 |
Research Abstract |
平成21年度は、平成20年度から行なってきた一般サンプル実験から引き続いて実験を行った。具体的には、5回目の実験を11月に行い、平成20年度に行なった4回の実験データとあわせて分析を行った。5回目の実験では、信頼ゲームおよび最小条件集団状況における囚人のジレンマゲームを行い、さらに各種心理尺度を測定した。同時に、各実験ゲームにおいて、参加者がその実験状況を日常におけるどのような状況に似ていると感じているかを測定し、実験ゲームを通してその状況をビジネスに似た状況だと考える傾向を示す因子と、助け合いの状況だと考える傾向を示す因子を抽出した。Prosocial傾向・ビジネス状況認知傾向・助け合い状況認知傾向の三つの変数と各実験ゲームにおける行動との相関を検討した結果、Prosocial傾向は独裁者ゲームにおける分配金額を除き、他の実験ゲームの行動と有意な相関を示した。ビジネス状況認知傾向とは囚人のジレンマゲーム・最小条件集団の囚人のジレンマゲーム・信頼ゲームにおいて高い金額を信頼された場合に返報する金額との間に相関が見られた。助け合い状況認知傾向とは、囚人のジレンマゲーム・最小条件集団の囚人のジレンマゲーム・信頼ゲームの信頼行動との間に正の相関が見られた。三つの要因全てが関連していた囚人のジレンマゲームの協力度を被説明変数とした重回帰分析の結果、全ての変数が有意な説明力を示した。これは、社会的価値に基づく協力行動の説明(価値アプローチ)に一定の説明力があることを示しつつも、その要因とは独立に、実験状況がどのような状況だと考えるか、その信念が協力行動に対して重要な影響を与えていることを示している。さらに、ゲームを助け合いだと認知する傾向は社会的賢さ尺度と相関を持っていた。このことは、素人社会理論のある種の側面が実験ゲームにおける状況認知傾向を通して協力行動に関連する可能性を示唆している。おり、重要な知見だと思われる。
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Research Products
(7 results)