2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J05464
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山口 智恵子 Kyoto University, 霊長類研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 霊長類 / 音声コミュニケーション / 比較行動学 |
Research Abstract |
本研究では、マーモセットの発声行動にに影響を与える要因について、個体間の関係性の面から検討した。まず始めに、ペア個体との隔離、視認性の有無、音声返答の有無の影響について検討した。マーモセットはペア個体と隔離されると頻繁にSeparation callを発した。ペア個体の視認性がない場合でも、音声返答がある場合は発声頻度の上昇は見られず、音声返答がない場合は発声頻度が上昇した。このことから、音声返答の有無はSeparation callの発声頻度に強く影響することが示唆された。今後は各条件間の音響的特徴の差などについて調べていく予定である。次に、Separation callとしてのPheeと、Proximity callとしてのTrillの2種類の音声を隠されたスピーカーから再生し、被験体の発声行動を記録した。被験体の発声のタイミングを測定したところ、刺激が再生されてから被験体が最初に発声するまでの経過時間は、被験体が連続して発声したときの発声間インターバルよりも短かった。これは、マーモセットの音声交換に"返事をする場合は一定の期間内に返事をし、もし返事がなかった場合にはその一定期間が過ぎてから発声を繰り返す"という時間的なルールがあることを示唆している。また、PheeとTrillにおける時間的なルールは質的には似ていたが、量的には異なっていた。これは、マーモセットが相手との距離の違いに応じて発声のタイミングを調節していることを示唆している。これらの結果は、ヒトの言語に見られる可塑性がサルの発声にもみられることを示す手がかりになりうるだろうと考えている。
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Research Products
(1 results)