2010 Fiscal Year Annual Research Report
シロアリの卵に擬態する菌核菌類の擬態メカニズムと擬態の進化の解明
Project/Area Number |
08J05483
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
矢代 敏久 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 擬態 / 寄主-寄生者間相互作用 / 昆虫と菌の相互作用 / 卵保護行動 / 社会性昆虫 / シロアリ / 卵擬態菌核菌 / ターマイトボール |
Research Abstract |
ヤマトシロアリ属シロアリの巣内の卵塊中にはシロアリの卵とは異なる褐色の球体(ターマイトボール)が存在する。この正体はFibularhizoctonia属の1種の菌核菌の菌核である。シロアリ職蟻は女王の産んだ卵を物理的(形、大きさ)及び化学的(卵認識フェロモン)に認識し、卵塊中に運搬し、抗生物質を含んだ唾液でグルーミングすることにより、卵を糸状菌やバクテリアから保護しているが、卵擬態菌核菌(ターマイトボール)はシロアリの卵に物理的及び化学的に巧妙に擬態し、シロアリ巣内で天敵や競争者から保護されている寄生生物である。 我々は、菌類による社会性昆虫の卵への擬態という極めて特殊な生態を持ち、寄主-寄生者間相互作用の研究における格好のモデルでもあるこの卵擬態菌核菌に関する以下の研究を行った。 昆虫と菌の相互作用は敵対的なものから相利的なものまで様々である。この昆虫と菌の関係の中でもハキリアリとその栽培菌及びキノコシロアリとその栽培菌の関係はその洗練された関係から特に注目され良く研究されている。これらの関係では社会性昆虫巣内の共生菌の遺伝的多様性が低く保たれることにより、相利共生関係が維持されると考えられている。一方、寄生菌にとっては社会性昆虫巣内の遺伝的多様性が高い方がむしろ寄生者・寄主間の軍拡競争において優位に立てると考えられるが、これまで社会性昆虫巣内の共生菌の遺伝的多様性について調べた研究は極めて少ない。そこでIGS領域でのRFLP解析を行った結果、予想どおり多くのシロアリの巣が複数系統の卵擬態菌核菌を保有していることが判明した。この結果を論文にまとめInsectes Sociaux誌に発表した。
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Research Products
(2 results)