2008 Fiscal Year Annual Research Report
実空間法による完全基底関数極限での電子状態理論の構築
Project/Area Number |
08J05484
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩崎 亨 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 電子状態理論 / 分子軌道法 / R12法 / 結合クラスター法 / F12法 / カスプ条件 / 精密計算 / 理論科学 |
Research Abstract |
本年度は、露に相関した結合クラスター理論(CC-R12)の開発を行い、三報の論文にまとめた。この露に相関した結合クラスター理論は、いまや精密な化学計算の標準的レシピとなっている結合クラスター法の弱点(すなわち基底関数のサイズに対する収束の遅さ)を克服するものであり、それによって精密計算のドメインを飛躍的に広げるものである。 私たちのグループは、Kutzelniggが1985年に提唱したR12法、およびそれに引き続く理論に立脚し、CC-R12/F12法を導出、さらにコンピュータコードへの実装を行った。このCC-R12法はCC法にまして非常に煩雑な方程式であり、マニュアルな実装には限界がある。そこで我々は複雑な方程式を取り扱い、コンピュータコードを生成するプログラム「SMITH」を開発し、これまで実現できなかった種々の方法を報告した。このSMITHはいかなる第二量子化演算子の組み合わせに対しても有効なように十分一般化されている。具体的には、完全な(すなわちダイアグラムの打ち切りを伴わない)CCSD-R12法、さらには高次のCC-R12法(CCSDT-R12,CCSDTQ-R12)である。 真の意味で予言可能性を持つ量子化学計算は、電子相関の取り扱いのレベルもさることながら、基底関数極限をとってこそはじめて実現される。本年度の我々の研究成果は、本課題の基底関数極限における電子状態理論の開発において、重要な位置を占める。
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Research Products
(4 results)