2010 Fiscal Year Annual Research Report
二枚貝類における精子ミトコンドリアDNAが関連した生殖細胞分化と性決定機構の解明
Project/Area Number |
08J05488
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小俣 麻友 (小幡 麻友) 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 精子ミトコンドリア / Doubly Uniparental Inheritance / リアルタイムPCR / in situ hybridization / Cytochrome b / mtDNA発現 |
Research Abstract |
ムラサキイガイでは、精子mtDNA(M type)、卵mtDNA(F type)の二種類のmtDNAが同一個体に存在する。各組織において機能しているmtDNAはM type、F typeどちらかを明らかにするために、雌雄の足、鰓、唇弁、中腸腺、生殖巣におけるmtDNA量、発現量をリアルタイムPCRで定量した。またM type、F typeのcytochrome b領域に特異的なプローブを用いてISH染色を行い、各組織におけるM type、F typeの発現パターンを観察した。 リアルタイムPCRの結果から、体細胞、雌生殖巣ではF type mtDNA量が優占し、主に発現していた。M typeはこれらの部位ではほとんど発現していなかった。一方、M typeは雄生殖巣のみで優占し、発現していた。各組織のmtDNA量、発現量から発現率を出した結果、雌生殖巣の発現率は他の組織と比べて有意に低かった。一方、雄生殖巣の発現率はF type、M type共に非常に高かった。ISH染色の結果から、F typeは体細胞、雌生殖巣で発現していた。特に消化管や唇弁上皮、生殖巣での強い発現が確認された。M typeの発現シグナルは雄生殖巣のみで観察された。特に精原、精母細胞で強い発現が観察された。 以上の結果からムラサキイガイではF typeとM typeが組織によって機能分担していることが明らかになった。特に、M typeは初期精子形成過程において重要な機能を持つことが示唆された。また各組織によって発現率が異なっていたことから、ムラサキイガイでは組織やmtDNAの型の違いによって異なる転写制御を行っていることが示唆された。
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Research Products
(2 results)