2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J05495
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福嶋 亮大 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 現代文学 / 文学研究 / 中国 |
Research Abstract |
平成20年度は博士論文執筆の準備を重ねつつ、より一般向けの仕事として、商業誌において現代中国の文化状況を紹介する記事を数本発表した。むろん、研究課題である「中国近代文学成立期における白話の社会的位置」というテーマは、字義通りには、1900年代から1920年代にかけての事象を主に取り扱うことになるので、表面上は現在の文学状況とは直接の関わりはない。とはいえ、いま一部の研究者のあいだでは、近代文学の範疇そのものが問い直されている状況かおり、その文脈においては、むしろ現在の状況も含みながら、大きく「近代文学」の全体像を捉え直していくことが求められる。具体的には、20世紀になってヨーロッパ文学が本格的に入っていく以前の文学的様式が、いまの中国文学にはある仕方で再来しているということである。本研究の意義は、一方でまだまだ日本での情報が不足している現代中国文化についてジャーナリスティックな発信を行いつつ、他方ではいまグローバル化や情報化に伴って起こっている変化を、20世紀以降の文化史の流れに基づいてよりトータルな形で記述し直すことにある。手早い情報提供と、長期的な文化論を両立させることによって、より深みのある研究を実施すること、20年度は、およそその課題を果たすことができたと思われる。
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