2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J05526
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉原 直記 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カーボンナノチューブ / カイラリティー制御 / 化学気相蒸着法 |
Research Abstract |
本研究は、カイラリティーの選択的なナノチューブの合成法の開発、ならびに特定のカイラリティーのナノチュブの分離・抽出を目標としている。以下には得られた成果を記す。 【キャップ構造に類似した分子を用いたナノチューブ合成】化学気相蒸着法によるナノチューブ合成中に、キャップ構造とよく似た分子を原料ガスとともに導入し、分子の構造を壊すことなく合成されるナノチューブ構造に分子を組み込むことを目的に実験を行った。今回キャップ構造として、TRIO(分子科学研究所櫻井英博准教授より提供)と呼ばれる分子を検討した。ナノチューブの合成温度(800〜1000℃)ではTRTOの構造を維持することが難しい。そこで、低温下でのナノチューブ合成を試みた。しかし、現時点で700℃以下でキャップ構造を有する分子を利用したナノチューブを合成させることには至っていない。今後、高真空下、もしくはホットフィラメントを利用したナノチューブの低温合成を試みることで実現されるのではないかと考えられる。 【水を利用したナノチューブのカイラリティー制御】ナノチューブ合成中に適量の水を導入することで、触媒寿命が延び、その収量が増加することが知られているが、本研究で、水の導入によりナノチューブのカイラリティーも制御できる可能性を見出した。ナノチューブの合成については、反応時間750℃で350sccmのCH_4(20%)-Ar雰囲気下で行った。また、水は分岐したArガスを蒸留水の入ったバブラーに通すことにより系内に導入しか。その結果、水を添加した系で合成したナノチューブの方が、水を添加していないものに比べ、直径分布が狭くまた細い径のチューブが多く存在することが分かった。また、今回の結果はこれまで報告されていた水の酸化反応によるものではなく、ナノチューブ合成中の触媒凝集を抑制するという水の新たな働きを示すものであった。今後更なる合成条件の最適化を行なうことで、特定カイラリティーのみを有するナノチューブの選択的合成が期待される。
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Research Products
(3 results)