2009 Fiscal Year Annual Research Report
植食性昆虫の寄主転換とそれに伴う種分化の進化遺伝学的研究
Project/Area Number |
08J05555
|
Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
大島 一正 National Institute for Basic Biology, 生物進化研究部門, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 複合進化 / 寄主変換 / 植食性昆虫 / 産卵選好性 / 寄主利用能力 / 連鎖解析 / QTL解析 / 種分化 |
Research Abstract |
幼虫の寄主利用能力を担っているゲノム領域を特定するため,クルミレースとネジキレースの交雑を行い,AFLPを遺伝マーカーとして両形質のQTL解析を試みた.QTL解析では,片方のレースに特有で,かつホモ接合である遺伝子座が多いほど解析の精度が増す.このため,山形産のクルミレースに岡崎産のネジキレースを掛け合わせてF1雑種を作成し,その雑種を霧島産のネジキレースと交配させることでbackcross世代を得た.鱗翅目昆虫の雌は,減数分裂分裂時に組み換えが起こらないため,backcross作成時のF1雑種に雌個体を用いることで,マーカー連鎖群の推定が容易となる.一方,F1雑種に雄を用いることで,マーカー間の組み換え率から遺伝距離の推定が可能となる.このため,backcross作成にあたり,F1雑種を雌親にした場合と雄親にした場合の両方の交雑を行い,それぞれ6家系分と9家系分のbackcrossを作成した.これらのうち,最も個体数が多く得られた家系(それぞれ98個体と87個体)を解析に用いた.AFLPマーカーには32通りのプライマーコンビネーションを用い,その結果,連鎖解析に使用可能なマーカーが134個得られた.現在はこれらの結果を用いて連鎖地図を作成中である.
|