2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J05562
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
高橋 秀朋 Hitotsubashi University, 大学院・商学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 効率的市場仮説 / 行動ファイナンス |
Research Abstract |
本研究の主目的は、近年ファイナンス分野において報告されている資産価格の資本資産価格モデル(CAPM)からの乖離(一般的に、アノマリーと呼ばれる)を、実験心理学で確立された行動バイアスをもとに説明するとともに、実験心理学において確立された複数の行動バイアスのうち株式市場の価格形成に強く影響を与えるものは何かということを実証的に明らかにしていこうとするものである。平成20年度は、当該目的と関連して、CAPMもしくはマルチファクター・モデルと表裏一体の関係にある、「価格に市場に存在するすべての情報が反映されている」という効率的市場仮説(EMH)の検証を行った。具体的には、財務データやマイクロ・データを用いて、投資家のパフォーマンスの持続性の検証を行う。EMHの下では、どのような投資家も持続的に高いもしくは低いパフォーマンスを示すことはなく、これが観察されればEMHへの反証となる。本研究では、この背後にどのような理由が考えられるのかまで追究した。具体的には、個人投資家の取引情報、投資信託の保有データとファンド・マネージャーの特性データ、信用取引のデータという3つのデータベースを利用した研究を行った。それらの研究の結果、伝統的な意味でのEMHは実際の株式市場では成立しておらず、EMHの概念に関して、より現実的な緩やかな修正を行うことを示唆した。本結果は、資産価格付け理論、コーポレート・ファイナンス等ファイナンスの派生分野の基礎となるEMHに対して重要な示唆を与えており、ファイナンスの分野において非常に重要な研究であると考えられる。
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Research Products
(4 results)