2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J05562
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
高橋 秀朋 Hitotsubashi University, 大学院・商学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 効率的市場仮説 / 行動ファイナンス |
Research Abstract |
本研究の主目的は、近年ファイナンス分野において報告されている資産価格の資本資産価格モテル(CAPM)からの乖離(一般的に、アノマリーと呼ばれる)を、実験心理学で確立された行動バイアスをもとに説明するとともに、実験心理学において確立された複数の行動バイアスのうち株式市場の価格形成に強く影響を与えるものは何かということを実証的に明らかにしていこうとするものである。Quarterly Review of Economics and Financeに受理された"The influence of academic interactions on stock selection and performance : Evidence from Japan"では、ファンド・マネージャーが経営陣との学術的繋がりによって利益を得ている可能性を指摘し、強度の効率的市場仮説が成立していないというひとつの実証的事実を提示した。また、Journal of Banking and Financeに受理された"Short-sale inflow and stock returns: Evidence from Japan"では、より洗練された投資家であると考えられる空売りを行う投資家が市場におけるミスプライシングを見つけることで利益を得ている可能性を指摘するとともに、空売りが行いにくく、彼らの影響が制限されるような環境ではミスプライシングが続く可能性も指摘した。この実証結果は、空売りによって市場価格が効率的な価格に近づくことを示している。以上のように、平成20年度・平成21年度を通じて、日本の株式市場においても、何らかの投資家の行動バイアスに起因する株価のファンダメンタル価値からの乖離が起きており、それが市場における裁定の制約によってアノマリーとして存在しうることを示した。
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Research Products
(5 results)