2010 Fiscal Year Annual Research Report
プロティノス以来の新プラトン主義における創造・発出・開闢の問題群
Project/Area Number |
08J05580
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西村 洋平 慶應義塾大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 新プラトン主義 / 魂 / 発出論 / プロティノス / プロクロス / イアンブリコス / ポルフュリオス / センテンチアエ |
Research Abstract |
1.プロティノスの思考論を第49論考(IV,9)にそって考察した。魂がもつ知性認識である思考能力について、プロティノスは単に上位存在である知性をとおして説明するのではなく、思考への厳密な考察を重ねる。いままで看過されがちであったこうしたプロティノスのアプローチを明確に示せたことは意義あることであった。 2.昨年度から続けているポルフュリオス『センテンチアエ』の翻訳は、後半部の翻訳を終わらせ完訳にいたった(堀江聡教授との共訳)。本邦初訳の『センテンチアエ』はプロティノス哲学の体系化の試みともいえ、プロティノスとの比較研究に今後おおいに役立つ成果である。また後に新プラトン主義哲学を完全な形で体系化したプロクロスへの影響を探るために重要な基盤となる成果であった。また、同書第9命題に着目し、「哲学者の死」と通常の意味での死の関係について考察し、二つの死にはいかなる連続性もないことを明らかにした。 3.学術振興会「海外優秀若手研究員派遣事業」をとおしてドイツ・ケルン大学のヤン・オプソマー教授のところでプロクロス研究を行った。天使・ダイモーン・英雄という高次の種族と、人間の魂のあいだにあるとされる「穢れなき魂」の存在論的位置づけを特定した。プロクロス哲学の複雑な魂論解明に向けて、諸階層の大枠を明確に示すことができたという点で、今後の研究発展につながる成果であった。 4.新プラトン主義協会が推進する翻訳プロジェクト『プロホドス』(ラテン語班、ギリシア語班)に、ドイツからメール等で引き続き参加し、イアンブリコス『普遍数学論』とプロクロス『悪の存立論』の翻訳に携わった。どちらも世界的に研究が始まったばかりであり、この邦訳の意義は大きいものである。
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Research Products
(6 results)