2009 Fiscal Year Annual Research Report
核小体の構築メカニズムの解明:ナノスケール構造解析と、多因子の時空間的解析
Project/Area Number |
08J05639
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
粂田 昌宏 Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 核小体 / 細胞骨格 / 核移行メカニズム / アクチニン / INO80複合体 / 細胞周期 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
最終年度となる平成21年度は、計画の各方面において大きな進展がみられた。分裂期に核小体領域に結合する細胞骨格タンパク質アクチニンの解析においては、このタンパク質の分子内疎水的領域が核膜孔複合体のFGタンパク質と相互作用することにより核内に移行するという、新規の核移行分子メカニズムを明らかにした。更に、核内におけるアクチニンはINO80クロマチンリモデリング複合体と直接に相互作用し、サイクリンBなどのG2-M期に重要な特定の遺伝子発現制御に関与していることを見出した。このことを筆頭著者として学術論文にまとめ、細胞骨格主導の核機能の制御という独創的な研究分野に乗り出すことができたと考えている。また、核小体の構造解析においては、核小体の構造的基盤と考えられる多くの機能未知タンパク質をクローニングし、生化学的処理や細胞内分子モビリティーの測定などの手法を用いてその基本的な性質を明らかにした。これらの結果を国内外の様々な学会において発表しており、今後細胞内構造体の維持機構を考える上で大変意義深い知見になると考えている。また、計画していた原子間力顕微鏡を用いた解析のうち、生細胞を用いた解析システムを特に発展させ、原子間力顕微鏡と蛍光顕微鏡を組み合わせた検出系で一細胞レベルでの経時観察が可能となった。今後これらのシステムと知見とを組み合わせることで、核小体のみならず様々な細胞内構造体の構築メカニズムに対して更なる深い理解が得られるものと考えている。
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Research Products
(5 results)