2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸化亜鉛をベースとする希薄磁性半導体量子構造におけるスピン依存伝導に関する研究
Project/Area Number |
08J05643
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
益子 慶一郎 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 希薄磁性半導体 / スピン依存伝導 / 酸化亜鉛 / ヘテロ構造 / 酸化物半導体 |
Research Abstract |
希薄磁性半導体ZnMnOを障壁層として用いたZn_<0.88>Mn_<0.12>O/ZnOヘテロ構造は界面に二次元電子層が形成されるためにZnO単結晶よりも高い移動度を有する。初年度はZn_<0.88>Mn_<0.12>O/ZnOヘテロ界面に生じるスピン依存伝導機構について詳細に検討した。パルスレーザー蒸着装置を用いてZnMnO/ZnOヘテロ構造の作製を行った。試料の表面観察によってステップ&テラス構造を確認し、ZnOチャネル層及びZnMnO障壁層が二次元成長している事がわかった。さらに、低温ホール効果測定によって10Kで1000cm^2/Vsを超える電子移動度を確認でき、高品質な界面を有する酸化物ヘテロ界面の作製に成功した。次に、ZnMnO/ZnO中のZnOを伝導する二次元電子に常磁性ZnMnO障壁層がおよぼす磁気的な影響について検討するため、磁気抵抗の評価を行った。磁気抵抗測定は試料面及び電流に対して平行に磁場を印加して行った。低温で電子移動度が1000cm^2/Vsを超える試料は1.85Kにおいて約5Tまで正の磁気抵抗を示しか。また、測定温度の増加に伴い磁気抵抗の増加率は減少した。その振る舞いはブリルアン関数と良く一致し、電子伝導にZnMnO障壁層のs-d交換相互作用が影響していることが示唆された。スピン分裂による電子間相互作用を考慮した磁気抵抗の解析を行った結果、ZnMnO障壁層のスピン分裂によってZnO伝導層中のアップスピンとダウンスピンの各波動関数のしみだし確率が変化し、ZnO層中にスピン分裂が生じている事が示唆された。一方、電子移動度が200cm^2/Vs程度の試料では二次元系の希薄磁性半導体のバルク磁気抵抗と同様の振る舞いを示す事が明らかになり、界面の高品質化によってZnMnO障壁層のスピン分裂によって生じるZnO伝導層の磁気伝導現象を初めて実験的に確かめることができた。
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Research Products
(11 results)