2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸化亜鉛をベースとする希薄磁性半導体量子構造におけるスピン依存伝導に関する研究
Project/Area Number |
08J05643
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
益子 慶一郎 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 希薄磁性半導体 / 酸化亜鉛 / スピン依存伝導 / 低温電子輸送特性 |
Research Abstract |
これまでに、ZnMnO/ZnOヘテロ界面においてZnMnO障壁層のスピン分裂によってZnO伝導層中のアップスピンとダウンスピンの各波動関数のしみだし確率が変化し、ZnO層中にスピン分裂が生じている事に起因している事を明らかにしている。さらに、二次元正孔ガスの形成(p型化)によりZnO伝導層に誘起されるスピン分裂エネルギーを飛躍的に増加する事が期待される。そこで、高エネルギー研究所(KEK)で放射光を用いてX線光電子分光(XPS)測定を行い、ZnMnO薄膜の価電子帯近傍の電子状態密度を評価した。Mn濃度3%の薄膜の価電子端近傍にブロードなピーク構造が観測された。さらにMn濃度が増加するとそのピーク構造が消失した。 0Tから10Tの磁場下でZnMnO/ZnOヘテロ構造の縦磁気抵抗の測定を試みた結果、3.24Kの温度では5T以上でシュブニコフドハース振動に起因すると考えられる磁気抵抗振動を観測できた。一方、横磁気抵抗の測定についても試みたが、5T以下の磁場では1.85Kでも量子ホール効果の存在を示唆するプラトーを観測することはできなかった。これらは、二次元閉じ込め効果が十分ではなく、三次元方向に伝導する電子が存在する事が影響していると考えられる。量子効果を観測できる試料を作製するためには、試料の高純度化や閉じ込め効果を増加するためのバンド構造を最適化すること(より大きなバンドオフセットを確保する)が必要であると考えられる。また、ZnOをベースとした希薄磁性半導体薄膜が異常ホール効果を示す事がいくつか報告されているが、本試料では確認されなかった。
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Research Products
(6 results)