2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J05659
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
ベグム S Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 形成層活動 / 木部細胞分化 / 形成層再活動指標 / 組織化学 / ポプラ / スギ / 加温処理 / 肥大成長 |
Research Abstract |
温帯に生育する樹木は、形成層活動期と休眠期という周期性を示す。形成層活動再開時期は、肥大成長量や材質を制御し、低温適応など樹木の環境適応性に重要である。そこで本研究では、形成層活動再開時期を制御する要因を生理学的に明確にすることを主目的とした。 形成層活動が休眠中の冬期に、ポプラおよびスギの樹幹に局所的な加温処理を行ない、樹幹を取り巻く温度環境が形成層活動に与える影響を解析した。樹幹に加温処理を人為的に行ったところ、形成層細胞の分裂が誘導され、樹幹温度の上昇が形成層活動再開の直接的な要因であるといえる。形成層再活動に伴い、師部や形成層帯の貯蔵デンプン量が変化し、貯蔵物質が形成層細胞の分裂や木部細胞分化のエネルギーに利用されているといえる。形成層細胞の再開時期が樹幹温度の上昇に制御されていることを証明するために、細胞分裂の開始時期と外気温の変化との関連性を解析したところ、最高気温の上昇と良い対応性が認められた。形成層活動の開始には、ある一定以上最高気温がある一定期間続くことが重要であり、最高気温と閾値との差の累積値から、形成層活動再開時期を予想するための形成層再活動指標(Cambial Reactivation Index)を提案した。形成層活動指標は、ポプラとスギでは異なっており、外気温に対する反応性が樹種により異なることを明らかにした。 本研究で得られた成果は、英国での国際木材科学アカデミー学会で発表し、成果の一部は植物科学の国際誌であるTree Physiolgyに発表した。
|
Research Products
(3 results)