2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物の炭酸塩耐性機構に関する研究 -イネ近縁野生植物を利用した解析-
Project/Area Number |
08J05685
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西内 俊策 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 遺伝子 / 植物 / ストレス / 特殊環境 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
1.イネマクロアレイの作成を行い、イネを対象にしたマクロアレイ法を実施した。 →その結果、イネにおいて21遺伝子が炭酸塩に対し特異的な発現を示すことが分かった。これらの遺伝子はイネの炭酸塩耐性機構を担う可能性があり、今後の詳細な解析が必要である。 2.Metallothionein1(MT1)のアミノ酸点変異導入による機能解析を行った。 →酵母を用いた解析の結果、一アミノ酸変異では機能に大きな変化は出ず、複数のアミノ酸の違いがChlMT1aとOsMT1bの機能の違いをもたらしていることが示された。 3.ChlMT1a、OsMT1a,OsMTbの各遺伝子を発現する形質転換シロイヌナズナを作製し、それぞれの耐性の評価を行った。 →その結果、遺伝子導入により野生型シロイヌナズナに比べ生育速度の減少や、重金属の蓄積といった形質が認められた。また、重金属に対する耐性には若干の向上が見られたが、炭酸塩、塩への耐性には変化が見られなかった。このことから、導入遺伝子による撹乱により生育速度が減少するものの、導入遺伝子が重金属の無毒化に働くことで耐性を付与したと考えられる。また、炭酸塩や塩に対して、今回の実験では耐性を向上させることは確認できなかったが、活性酸素の除去能などには変化が出ている可能性もあるため、活性酸素除去能の確認などが必要だと考えられる 4.C.virgata cDNAライブラリーのEST解析を行った。 →約3200クローンの解析が終わり、NCBIデータベースへの登録を行っている。これは今後野生植物Chlorisvirgataの解析をする上で、有用なデータである。
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