2009 Fiscal Year Annual Research Report
非エネルギー部門における温室効果ガスの排出量とその削減ポテンシャルの将来推計
Project/Area Number |
08J05699
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 知子 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Climate change / Agriculture / Mitigation / Methane / Nitrous oxide / Food projection / Crop yield |
Research Abstract |
本年度の研究実施状況について,以下の2点を報告する.一点目は国際応用システム分析研究所(IIASA)での若手研究者プロジェクトにおける共同研究について報告し,もう一点は,昨年度から引き続き実施してきた,単収関数を用いた気候変化の作物単収に対する影響評価について報告する. 1)農業環境勘定表の構築手法の開発 世界農林業需給モデルの構築には,世界各国の農畜産物に関する信頼性の高いデータが必要である.しかし,既存データには異常値や欠測値などの問題点がある。そこで,食料の生産から消費に至るまでの食料物資のフローとその過程で排出される温室効果ガスを含めた,世界における農業環境勘定表の構築手法を開発し,これを用いて多種の統計を基に調整計算を行い,整合的な農業環境勘定表を推計した.このような,データの整合性の向上により,異常値や欠測値のないデータに基づいた食料需給予測が可能になる.また,農業モデルの構築に不可欠な消費者価格が推計できた. 2)気候変化の作物単収に対する影響評価 世界農林業需給モデルにおいて、気候変化による単収への影響を考慮することによりモデルによる推計の精度が向上できる。そこで、世界94力国,5種の作物について1971-2000年のデータから国別にGeneral-to-Specificモデリング手法により推定した.推定したパラメータを用い,各国の気候要因に対する作物単収への影響の分析を行った.さらに,将来の国別年平均気温および降水量シナリオを用い,将来の作物生産への温暖化影響を推計・評価を行った.その結果,途上国における単収の低下は,先進国と途上国の生産量の格差を拡大するのみならず,世界全体の生産量の減少を招くことを示し、今後の途上国における適応策の重要性を示唆する結果となった.この成果を,学会誌Agriculture, Ecosystems & Environmentにまもなく投稿する予定である.
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Research Products
(3 results)