2010 Fiscal Year Annual Research Report
非エネルギー部門における温室効果ガスの排出量とその削減ポテンシャルの将来推計
Project/Area Number |
08J05699
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 知子 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 気候変動 / 対策評価 / 農畜産業 / 食料需給モデル / 単収 |
Research Abstract |
本研究者は、世界を対象に農畜産業からの温室効果ガス排出量およびその削減ポテンシャルを推計し、昨年度の3月に博士論文としてとりまとめを行った。本論文は、現在、社会的重要性・緊急性が高い農畜産業での温暖化対策を取り上げ、計量経済学的手法を駆使することによって、その実証性・定量性を一段と高めたものである。 計量経済学的手法により世界食料需給モデルを構築し、それを用いて世界35地域を対象に2005~2030年における人口増加や経済発展に伴う農畜産物の需給を推計した。推計した農畜産物の生産量に基づき温室効果ガスの排出量と削減ポテンシャルを推計し、個々の対策技術の導入にかかる費用と削減効果を評価した。世界食料需給モデルの同定には、昨年度構築した時系列データである農業環境勘定表を用いて、General-to-specificモデリング手法(以下、Gets)と最小二乗法により行った。Getsでは、対象とする現象と関係しうる変数をすべて含める一般モデルから始め、具体化することでモデルを同定することで、関係ある変数の漏れや特定化のミスを防ぐところに特徴がある。 また、同様の手法により同定した世界94カ国を対象に、主要作物5種の単収関数を用い、各国の気候要因に対する作物単収への影響の分析を行った。単収関数の説明変数として、気温、降水量、肥料、灌概設備、労働投入量、生産者価格等を考慮している。これらの成果は、地域・対策別に削減ポテンシャルを提示しており、気候変動政策の検討などに客観的な定量的情報を与えるものである。
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Research Products
(2 results)