2008 Fiscal Year Annual Research Report
2型糖尿病における高血圧発症機構-高血糖による腎でのSGK1発現とNa再吸収-
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08J05712
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
樽野 陽幸 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ENaC / 高血圧 / プロテアーゼ / トラフィッキング / EGF-RK / アプロチニン |
Research Abstract |
学術振興会からのサポートを受けて開始した本研究において、体液量増大にかかわる高血圧を検証する場合、重要な働きを担っている腎集合管における上皮型ナトリウムチャネル(ENaC)の発現および機能制御解明を目指した。この観点から、高血圧発症にかかわるプロテアーゼ阻害剤であるアプロチニンのENaCの細胞内トラッフィッキングに対する効果を調べた。その結果、アプロチニンはENaCを細胞内ストアー部位から管腔側膜への移動速度を減弱させることが明らかとなった。一方、ENaCの管腔側膜から細胞内への取り込み速度は、アプロチニンにより有意の差を持っては影響を受けなかった。Epidermal growth factor receptor kinase(EGF-RK)阻害剤により、ENaCの細胞内ストアー部位から管腔側膜への移動速度は減弱した。また、EGF-RK阻害剤存在下では、アプロチニンのENaCの細胞内ストアー部位から管腔側膜への移動速度減弱効果は観察されなかったが、この移動速度はアプロチニン処理により減弱する傾向を示した。このことより、アプロチニンのENaCの細胞内ストアー部位から管腔側膜への移動速度減弱効果は、EGF-RK経由と考えられた。さらに、上記のように、ENaCの管腔側膜から細胞内への取り込み速度は、アプロチニンにより有意の差を持っては影響を受けなかったにもかかわらず、EGF-RK阻害剤存在下では、アプロチニンは有意の差を持ってENaCの管腔側膜から細胞内への取り込み速度を減弱させた。このことは、アプロチニンが、EGF-RK非依存的にENaCの管腔側膜から細胞内への取り込み速度を減弱させ、EGF-RK経由でその速度を維持させていることを示唆するものである。
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