2010 Fiscal Year Annual Research Report
磁性強誘電体エピタキシャル薄膜の磁性-誘電性相関現象
Project/Area Number |
08J05725
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
前田 和弘 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | マルチフェロイクス / 強誘電体 |
Research Abstract |
六方晶YbMnO_3はc面内に反強磁性秩序およびc軸方向に強磁性秩序を示す複雑な磁気構造を有する強磁性強誘電体である。本研究ではYbMnO_3薄膜の作製およびその薄膜の磁性一誘電性相関現象に関して議論を行った。本研究では、パルスレーザ堆積法を用いてYbMnO_3薄膜の作製を行っており、ターゲットにレーザを照射した際に放出される活性粒子の発光(プルーム)に対して分光分析を行うことで、成長中に薄膜の金属組成比を観測することが可能である事を示した。この様に成長中にプルームを評価することで化学量論組成であるYbMnO_3薄膜を得る事が出来き、そのYbMnO_3薄膜は室温において良好な強誘電性を示すことを確認した。作製したYbMnO_3薄膜の磁気構造の決定を行うために中性子回折および磁化測定を行った。しかしながら、中性子回折ではYbMnO_3の核反射は確認できるものの、回折強度の弱い磁気反射は検出されなかった。磁気反射を観測するためには膜厚を増加させるといったYbMnO_3の体積を増やす工夫が必要であることが分かった。一方、無磁場中冷却(ZFC)、磁場中冷却(FC)後の磁化の温度依存性を調べた結果、2K~100Kの間におけるZFC、FC後の帯磁率に差があることから磁場誘起強磁性を示すことが示唆された。どちらの測定においても100K近傍でキュリーワイス則から外れ、強磁性秩序が形成され始めることを明らかした。10K程の低温からの室温における幅広い温度領域で分極量-電界測定を行った結果、その飽和分極量は100K以下において増加量が大きくなることが分かった。良好な強誘電性を示すYbMnO_3薄膜を作製することにより、六方晶RMnO_3の物質において磁気相転移によって自発分極量が増加するという磁性-誘電性相関現象を明らかにした。
|
Research Products
(3 results)