2009 Fiscal Year Annual Research Report
中国長江流域における淡水資源の利用と管理、分配に関する比較環境史研究
Project/Area Number |
08J05729
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
卯田 宗平 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中国地域研究 / 長江 / 民族誌 / 人類生態学 / 漁撈活動 / 身体活動強度 |
Research Abstract |
中国・江西省〓陽湖の漁村を対象に、長期の現地フィールド調査を実施した。調査では、〓陽湖における鵜飼い漁撈民を対象に、自然・社会環境の変化への漁撈民の対応のメカニズムについて考察した。 調査では、干拓造成や生産請負制の影響をまだ大きく受けていなかった時期である1989年の衛星画像とその17年後の2006年の衛星画像を準備し、1、漁師たちに衛星画像を見せ、当時と現在の操業可能な水域を聞き取った。また、2、著者が彼らとともに出漁し実際に利用されている漁場も記録した。その後、3、Remote Sensing技術により、操業可能な水域の面積を測った。また、4、日々の操業場所や操業方法、操業時間、漁獲収入と支出、身体活動量を記録し、近年の漁撈活動の変化を考察した。 この結果、以下のことが明らかになった。漁場面積の減少に直面した漁師たちは、川幅の広い河川で集団漁(フォ)を開始し、大量に獲れるコイやカワヒラ、コイ科の小型魚を燻製業者や養殖業者に販売できる仕組みをつくった。この結果、W村の鵜飼い漁は、1、フォを行った際、コイやカワヒラなどの漁獲物を特定の業者に売り切ることができるため比較的安定した収入が得られるようになった。2、フォをW村周辺の川幅の広い河川で行うようになったため、一連の操業において移動に費やされる時間が以前に比べて短くなり、逆に漁獲(実際にウを使って魚を獲る作業)時間が増えた。3、身体活動強度の強い漁獲作業の時間が増加したため、出漁一回あたりの身体活動量も増加した。
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Research Products
(5 results)