2010 Fiscal Year Annual Research Report
中国長江流域における淡水資源の利用と管理、分配に関する比較環境史研究
Project/Area Number |
08J05729
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
卯田 宗平 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中国地域研究 / 長江 / 民族誌 / 人類生態学 / 漁携活動 / 身体活動強度 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度まで実施してきた中国・江西省〓陽湖の漁村における現地フィールド調査の結果を踏まえ、論文を執筆し、国内外の学術雑誌に投稿した。その内容は、以下である。 (1)中国大陸で著者が観察した計139地点のデータに基づき、鵜飼い漁の地域的な共通性と相違性を明らかにし、中国の鵜飼い漁の特徴を考察した。その結果、中国大陸の鵜飼い漁は大きく四つに類型化できることが分かった。 (2)長江流域の村落を対象に、人口や教育、衛生、交通といった10の分野からなる指標を用いて村落の変化を捉え、その変化の地域的な共通性と相違性を考察した。その結果、村落の変化は、指数が上昇する時期や速さの違いに応じて大きく四つのタイプに分けられることが分かった。 (3)湖水面積が季節的に大きく変動する江西省〓陽湖を対象に、そこで生きる鵜飼い漁師たちの生業活動を記述分析した。その結果、漁師たちは渇水期になると河川に拠点を移し集団漁を行いながら、日々の漁獲時間を増やすことで漁獲生産性の低下に対応していた。そして、このような取り組みの結果、渇水期の日々の漁獲収入は豊水期のそれと大きな差はみられないということが分かった。 (4)生業技術をひとつの切り口とした環境史研究の可能性について検討した。我われ人間は、技術を介してとりまく自然と関係をもつ。そのため、技術が変化することは自然と人間との関係にも影響を与える。こうした自然と人間を介する技術に着目することで、従来の歴史区分にとらわれない時代解釈ができるのではないかと指摘した
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Research Products
(6 results)