2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J05751
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
溝川 藍 Kyoto University, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 幼児期 / 情動理解 / 認知発達 |
Research Abstract |
本研究の目的は,幼児・児童の偽りのネガティブ情動表出に関する理解について検討を行い,円滑な対人関係を支える心の発達を明らかにすることである。平成22年度の主な研究成果は以下の通りである。(1)幼児の嘘泣きの対人的機能の認識について検討するため個別実験を実施した。対象は幼児62名(4歳児群30名,5歳児群32名)であった。登場人物が嘘泣きや本当の泣きを表出する仮想場面を提示した後,登場人物の泣きに関する質問を行なった。その結果,子どもたちは,本当の泣きについては,年齢や状況にかかわらず「泣きの表出が他者からの向社会的行動を引き出す」と判断した。嘘泣きについては,年齢によってその機能の認識に違いが見られた。4歳児は,被害有り状況(砂山を踏まれる等の被害を受けた後での嘘泣き)では,被害なし状況(ペンを貸してほしい等の個人的な理由による嘘泣き)よりも,「嘘泣きが向社会的行動を引き出す」と判断した。一方,5歳児は,その多くがどちらの状況でも同程度に「嘘泣きが向社会的行動を引き出す」と判断していた。また5歳児の中では,嘘泣きに他者が共感すると考えた子どもほど,「その他者が向社会的行動を取る」と判断していることが明らかになった。(2)平成20年度に行なった「ふり遊びの文脈における怒るふりの理解」に関する実験のデータの分析と考察を行なった。ふり遊びの文脈は,3,4歳児の見かけと本当を区別する能力を促進することが知られている。しかし,怒るふりに関しては,この促進的な側面は確認されず,3,4歳児の多くが「遊びとしての怒るふり」を「本当の怒り」だと捉えていることが示された。(3)上記2つの研究に加えて,昨年度に引き続き,毎週1回定期的に幼稚園に通って参与観察を行ない,記録したエピソードから,仲間関係の中での心や感情の理解の発達について考察した。
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Research Products
(4 results)