2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体ナノ空間における高分子集合構造の自在制御と機能発現
Project/Area Number |
08J05762
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
楊井 伸浩 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 多孔性金属錯体 / 高分子 |
Research Abstract |
近年2nm以下の均一な細孔を有する多孔性金属錯体が注目を集めている。多孔性金属錯体の細孔のサイズや表面環境は様々に変化させることができるため、その細孔中に高分子を導入することで、細孔中における高分子鎖の本数や環境を自在にかつ厳密にコントロールすることが可能となる。そのような細孔に取り込まれた高分子鎖数本め集合体がどのような物性を示すかということは、高分子ナノ材料の物性評価という観点から非常に重要である。本研究では、細孔中に結晶性の高分子であるポリエチレングリコール(PEG)を導入し、その相転移挙動を検討した。多孔性金属錯体[Cu2(L)2(triethylenediamine)]nのジカルボキシレート配位子Lを系統的に変化させ、一連の錯体を合成した。PEG(Mw=600)のアセトニトリル溶液にそれぞれの錯体を浸漬した後、真空下で90℃に加熱してPEGを細孔内へと導入した。DSCにより、細孔サイズが異なる細孔中でのPEGの融点を測定したところ、バルク状態のPEGの融点より低くなり、更に細孔サイズに強く依存して変化することが分かった。すなわち、高分子鎖数本程度の集合体の融点を初めて観測し、更に高分子の本数に依存した融点の変化を明らかにした。一方、細孔サイズはほぼ同じで、配位子Lの置換基の異なる錯体を用い、細孔中でのPEGの融点の比較を行った。錯体の細孔表面とPEGとの相互作用が強いほど融点が上昇することが分かった。以上より、細孔サイズおよび細孔の表面環境を変えることで、細孔中のPEGの相転移挙動を自在にコントロールすることができた。
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Research Products
(5 results)