2009 Fiscal Year Annual Research Report
誘導多能性幹(iPS)細胞を用いた神経系細胞の誘導と脊髄損傷治療への応用
Project/Area Number |
08J05766
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 恭子 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 特別研究員(DC2)
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Keywords | iPS細胞 / 脊髄損傷 / 神経幹細胞 / 細胞移植 / 再生医療 / 安全性 / 神経分化 |
Research Abstract |
近年、私たちの研究室では、体細胞に数種の遺伝子を導入することにより、ES細胞様の人工多能性幹(induced pluripotent stem : iPS)細胞を作成することに成功した。脊髄損傷の患者本人の体細胞からiPS細胞を作り出し、神経系細胞へと分化誘導して移植することが可能となれば、免疫拒絶反応や倫理的問題がない理想的な細胞移植治療になると考えられる。しかしiPS細胞由来の神経系細胞が、ES細胞由来の神経系細胞と同等の機能性を有しているかはいまだ不明である。また、iPS細胞は遺伝子導入により人工的に初期化された細胞であることから、極めて慎重にiPS細胞由来神経系細胞の安全性の確認を行わなければならない。そこで本研究課題では、マウスiPS細胞由来神経系細胞の機能性および安全性の評価を行った。マウスiPS細胞からニューロスフェア法を用いて神経系細胞の分化誘導を行ったところ、iPS細胞はin vitroで神経系三系統に分化し、iPS細胞由来ニューロンは電気生理学的に機能的であることが明らかとなった。このiPS細胞由来ニューロスフェアを脊髄損傷モデルマウスに移植したところ、ES細胞由来ニューロスフェアを移植した時と同等に、後肢の運動機能の回復が認められた。これらの結果から、iPS細胞由来神経系細胞はES細胞由来神経系細胞と同様の機能性を有すると考えられた。現在、iPS細胞は様々な体細胞から様々な方法により樹立されているが、どのように樹立したiPS細胞が最も分化能力が高く安全であるかは、いまだ不明である。 そこで次に、神経系細胞への分化誘導時に、(1)体細胞の由来の違い、(2)c-Myc導入の有無、(3)樹立時の薬剤耐性レポーターによる選択の有無が、iPS細胞の分化能と移植後の安全性に与える影響を検討した。マウスiPS細胞36株からニューロスフェアの分化誘導を行い、NOD/Scidマウス線条体へ移植することにより安全性の評価を行ったところ、iPS細胞の分化能と安全性は、体細胞の由来によって大きく異なるということが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Variation in the safety of induced pluripotent stem cell lines2009
Author(s)
Miura, K., Okada, Y., Aoi, T., Okada, A., Takahashi, K., Okita, K., Nakagawa, M., Koyanagi, M., Tanabe, K., Ohnuki, M., Ogawa, D., Ikeda, E., Okano, H., Yamanaka, S.
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Journal Title
Nature Biotechnology 27
Pages: 743-745
Peer Reviewed
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