2008 Fiscal Year Annual Research Report
三次元数値計算と模擬実験による重力崩壊型超新星爆発メカニズムの解明
Project/Area Number |
08J05773
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩上 わかな Waseda University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 重力崩壊型超新星 / 衝撃波 / 原始中性子星 / ニュートリノ |
Research Abstract |
本研究では、重力崩壊型超新星の爆発メカニズム、並びに爆発時に形成される原始中性子星のキック・スピン現象の解明を目的として、定在降着衝撃波の不安定性(SASI)について三次元数値流体シミュレーションを行っている。本年度は、主に回転がSASIに与える影響と、SASIのキック・スピン現象との関わりについて調べた。その結果を二つの国際学会(アメリカ・フランス)、三つの国内学会(東京)で発表し、回転に関する結果について学術雑誌に論文を投稿し、一つは受理された。また、これらの内容を含むここ三年間の研究内容を博士論文にまとめた。 重力崩壊型超新星爆発は非球対称であるということは、超新星残骸の観測からも明らかになっている。その非球対称性の原因の一つとしてSASIが注目されている。近年は、三次元計算も行われつつあるが、その数はまだ少なく、爆発に重要な役割を果たすと言われているニュートリノ加熱を考慮した超新星SASIの三次元計算は我々が世界で最初に、その結果を学術雑誌に投稿した。本年度は、その研究をさらに発展させた。まず、回転の効果を与え、その影響について調べた。理論的な研究結果と定性的な一致が見られ、回転SASIについて理解が深まった。さらに、回転がある場合とない場合で、SASIが爆発の中心部に形成される原始中性子星にどのような影響を与えるか調べた。原始中性子星が爆発の中心部から別の方向に向かって進行していく現象(キック)や自転する現象(スピン)は観測可能である。しかしながら今回の研究からSASIの現象だけでは観測を説明するのには十分でないことがわかった。
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