2008 Fiscal Year Annual Research Report
ホームレスとホームレス問題のガバナンスの社会学的研究
Project/Area Number |
08J05775
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
林 真人 Toyo University, 社会学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ホームレス / 野宿者 / ガバナンス / 福祉国家 / 新制度論 / 比較社会学 / 労働市場 / 労働力商品化 |
Research Abstract |
第一に、神奈川県におけるホームレス問題のローカルなガバナンス構造を実証的に研究した。県内でホームレスが多い市(横浜・平塚・藤沢・相模原)に関して、行政職員・支援団体・NPOに対して聞き取りと資料収集を行った。そして資料分析を行い、神奈川エリアの特徴的なガバナンス構造が歴史的な発達過程を持っていることを明らかにした。第二に、このミクロ・メゾレベルの資料分析を位置づけ、実証研究を体系的に行うために、新制度論やガバナンス論の文献研究を進めた。特に組織やインフォーマル制度についての文献から、ローカルな環境が作り出され維持されるプロセスの分析枠組を構築することで、国家から相対的に自律的なローカルガバナンスの分析枠組を構築した。第三に、国家・市場・社会組織が、ホームレス問題およびホームレス支援運動とどのような関係を持っているのかを理論的に明らかにした。特にカール・ポランニー『大転換』を精読することで、労働力商品化の観点からこれを行った。第四に、イギリス・アメリカにおける福祉国家の発達過程と、ホームレス政策の展開を、英米圏の文献を用いて整理し、日本の展開と比較した。この国際比較によってわが国の福祉国家とホームレス政策の特徴や、他国との同一性を明確に示しか。第五に、以上の4つの研究を雑誌論文(3本)や学会報告(国際学会での単独報告)として発表し、また博士論文として体系的にまとめあげた。
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