2008 Fiscal Year Annual Research Report
メカノケミカル的手法による細胞挙動のダイナミック制御用バイオチップの開発
Project/Area Number |
08J05826
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川島 丈明 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 3次元培養 / 共培養 / 細胞挙動制御 / 細胞間コミュニケーション / 細胞パターン |
Research Abstract |
近年,ES細胞やiPS細胞などの研究により培養細胞から,生体内の各細胞種を作り出せる時代が訪れようとしている.しかし,依然として培養細胞から,生体内の組織と同様の機能を有する組織の構築には,技術的な課題も多く,実現にはまだ困難な壁が多数残されている. 特に今年度は培養細胞を用いた筋細胞に着目し,機械的と化学的に細胞培養環境を制御することで効率的に筋組織様のサンプルを作製することを目指して行った.特に機械的制御として力学刺激用の専用チャンバーを作製し,筋芽細胞を3次元培養した状態での分化誘導について検討した。 現在,既に行っている3次元培養系への細胞パターンの導入法を応用し筋芽細胞のパターンをゲル内に配置し,効果的に生体組織に近い機能の付与が可能かどうかを検討している。また従来の研究者の報告によれば電気的刺激と薬剤刺激により,筋芽細胞を収縮能を持った筋細胞へと分化させることが報告されていることから,電気刺激や薬剤刺激をそこに応用する,培養系の構築も今後行う. また,脱着式培養基板を作製し,血管内皮細胞(HUVEC)と子宮頸癌細胞(HeLa細胞)を用いたランダム共培養系の確立を行った.さらに,この脱着式培養基板を流路構造へと組み込むことで異種細胞間のコミュニケーションの詳細な解析を目指している.既に,脱着式培養基板を用いることでHUVEC細胞とHeLa細胞の共培養によりHUVECの遊走性に変化が生じることを見出しており,HeLa細胞からのパラクライン的なシグナルによることが示唆されている。現在,さらにマイクロ流路構造と組み合わせ,流速の制御を行うことで細胞が産生するシグナル伝達物質の拡散方向を制御し,より詳細な細胞間相互作用の検討を行っている.
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