2009 Fiscal Year Annual Research Report
メカノケミカル的手法による細胞挙動のダイナミック制御用バイオチップの開発
Project/Area Number |
08J05826
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川島 丈明 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞転写 / フィブリンゲル / コラーゲンゲル / 細胞パターニング / 電気化学バイオリソグラフィー / 脱着式培養基板 / 血管内皮細胞 / 筋芽細胞 |
Research Abstract |
再生医療や新薬の創生といった医薬品関連の分野をはしめ、多くの生物学的実驗を必要とする分野において、培養細胞を用いた実験系は従来にも増してその重要度を高めている。本研究では、培養細胞を取り巻く培養環境をより生体内の環境に近い形で制御する手法を機械的・化学的制御の両者を応用することで実現する新たなチップデバイスの創出を目的としている。 研究計画の2年目である当年度では、2次元細胞パターンを容易に3次元培養可能な細胞転写技術を駆使し複数の細胞が転写可能であることを確認した。また、転写後の細胞へ力学刺激や電気刺激を印加することで細胞機能の制御が可能であることを確認した。具体的には、血管内皮細胞をフィブリンゲルへ転写し力学刺激を印加することで管腔化方向を制御可能であることを見出した。また、筋芽細胞の2次元パターンを転写し、電気刺激を印加することで効果的に収縮機能を付加することが可能であることを確認した。そして、神経細胞も転写可能であることを確認し筋芽細胞との共培養系の可能性を見出した。 また、ユニット化した脱着可能な培養基板を作製し、血管内皮細胞と子宮頚癌細胞の共培養を容易に行える培養チップの作製と相互作用の解析も行った。具体的には、内皮細胞とがん細胞の共培養においてな特異的な内皮細胞の挙動ががん細胞からのパラクラインシグナルに起因している事を見出した。脱着式基板を用いた実験では内皮細胞ががん細胞から逃げる方向に遊走していくことを確認しており、それがおらくパラクラインシグナルによるものであると考えられていた。そこで、この確認のために脱着式培養基板を微小流路構造と組み合わせシグナルの伝播方向を培地流れで制御可能なデバイスを作製した。これにより、内皮細胞の後退現象がパラクラインシグナルによることを見出した。 これらの結果は、培養細胞を用いた新規実験系の確立に大いに貢献できると考えている。
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