2008 Fiscal Year Annual Research Report
電子線照射によるシリカ系透明ガラスの強靭化と機構に関する研究
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08J05839
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岩田 圭祐 Tokai University, 大学院・理工学研究科総合理工学専攻, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 電子線照射 / シリカ系ガラス / 衝撃試験 / 強靭化 / ダングリングボンド / クラック発生 / クラック伝播 / 応力緩和 |
Research Abstract |
研究の意義と目的は、電子線(EB)照射シリカ系透明ガラスの強靭化とその機構を提案し、詳細に明らかにすることである。研究の重要性については、現在までの研究においてEB照射によるシリカ系ガラスの衝撃値の向上により強靭化に成功した。さらに、そのクラックの発生・伝播機構について解明し、電子線照射による効果を検討した。学位を構成する累積主論文は国際学術誌のMaterials Transactionsは4報を越えている。累積研究業績は日本金属学会誌(12報)、国際会議Proceedings(7報)、特許出願(3件)である。なお、業績の詳細については、ホームページを参照されたい。(http://pubweb.cc.u-tokai.ac.jp/am026429/KeisukeIWATA_works.htm) 2008度の研究実施計画の具体的実施内容は以下に示す通りである。シリカを主成分としたガラスにEB照射を行い、シャルピー衝撃値や破壊靭性値を求めた。その結果、EB照射により、シリカと3種類のシリカ系ガラスの衝撃値が向上することを確認し、Materials Transactionsに一部公表している。さらに、EB照射による衝撃値増加の因子を確認するために、破壊靭性値と、そのEB照射線量依存性も確認し、Materials Transactionsと日本金属学会誌に一部公表した。結果として、2種類の液晶ディスプレイ用シリカ系ガラスの電子線照射の効果は、クラックの発生が主に抑制していることが確認でき、シリカガラスの電子線照射の効果では、クラックの発生と伝播の双方が寄与している可能性が高いことを見出した。 一方、本研究では電子スピン共鳴を用いて、EB照射前後における試料内のダングリングボンドの有無を確認した。その結果、シリカ系ガラスにEB照射を行うことにより、試料内にダングリングボンドが発生する事を確認した。つまり、ダングリングボンド近傍のシリカネットワーク構造により圧縮応力が発生するだけでなく、終端原子間の双方におけるダングリングボンド間の斥力がクッションとして働き、外部応力が緩和されることにより、衝撃値が増加した可能性も高いと考察した。
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Research Products
(10 results)