2010 Fiscal Year Annual Research Report
音韻的作動記憶の特徴と行動の調整におけるその役割に関する実験的検討
Project/Area Number |
08J05849
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐伯 恵里奈 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | エクゼクティプコントロール / 言語的表象 |
Research Abstract |
エクゼクティブコントロールにおける言語的表象の役割を検討した、素早い課題の切り替えを求めたこれまでのタスクスイッチング研究では、課題目標の系列化コントロールや恣意的な手掛かり課題目標の符号化など、ごく短い時間スパンにおけるエクゼクティブコントロールへの言語的表象の関与が示唆されてきた。 本年度は、より長い時間スパンにわたる目標コントロール場面における言語的表象の関与について、認知実験の結果に基づき理論的検討を行った。ペア数字の値の大きさ判断課題と、フォントサイズの大きさ判断課題が互いに干渉しあう、数字ストループ課題を用いた実験から、どちらか一方の課題のみを行う場面では言語的表象の関与は認められないが、一方の課題を集中的に練習し、その後、残り一方の課題の連続的な遂行が求められた場合、同じ課題を反復して行うにもかかわらず、後者の課題を効率的に遂行するのに言語的表象が必要であることが示唆された。この結果は、練習によって一時的に形成された行動傾向が、次の新しい課題の遂行を妨害するときに、言語的表象を用いて新しい課題目標を設定・活性化することが有効であることを示唆するものだといえる。このため、習慣的な行動の脱却に必要な目標コントロールに関わる表象に、(少なくとも初期の段階では)言語的なものが含まれている可能性があり、この点についてのさらなる検討は、エクゼクティブコントロールに必要となる表象に関する研究の進展に寄与するものと考えられる。
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Research Products
(3 results)