2009 Fiscal Year Annual Research Report
無限次元アレクサンドロフ空間,勾配曲線及び準測地線の幾何学
Project/Area Number |
08J05852
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三石 史人 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アレクサンドロフ空間 / 準測地線 |
Research Abstract |
曲率1以上の有限次元アレクサンドロフ空間Xの半径は一般にπ以下であり、丁度πの時にはXは定曲率1の球面に等長的にになる事が知られている(等長球面定理)。平成21年度に掲載された論文[A splitting theorem for…](下記参照)の中で、この結果が無限次元アレクサンドロフ空間の場合にも成立する事を明らかにした。半径がπに近い時に、Xと球面の幾何やトポロジーがどう近いかという事もよく研究されている。 私はこれら一連の研究の中で、次のような定理を得た。 定理:曲率1以上のn次元アレクサンドロフ空間Xの半径がπ-εより大きければ、Xとn次元球面のグロモフ・ハウスドルフ距離はτ(ε)未満である。ここで、τ(ε)はεのみに依存した明示的な関数で、ε→0の時τ(ε)→0となるものである。 この結果は現在論文にまとめ投稿中である。定理の証明には、ペレルマン・ペトルニンが定式化し、その存在を示した有限次元アレクサンドロフ空間上の準測地線を用いる。2つ注意をしよう:1.定理の類似の結果はすでに知られていたが、そこではτ(ε)がnによらないという事は分かっていなかった。2.定理の系として、有限次元等長球面定理を得る。これは準測地線を用いた点で新しい証明である。これらの注意により、準測地線がアレクサンドロフ空間の幾何学の研究において、非常に有益である事の一端を表わしている。またτ(ε)がnに依存しない事から、この定理の無限次元版が成り立つ事が期待できる。
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Research Products
(2 results)