2010 Fiscal Year Annual Research Report
無限次元アレクサンドロフ空間,勾配曲線及び準測地線の幾何学
Project/Area Number |
08J05852
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三石 史人 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アレクサンドロフ空間 / 3次元アレクサンドロフ空間 / 崩壊理論 / 崩壊 / 一般化されたザイフェルト・ファイバー束 / リプシッツフロー |
Research Abstract |
今年度は,筑波大学の山口孝男氏と共同研究を行い,崩壊する3次元の閉(すなわち,コンパクトで境界のない)アレクサンドロフ空間の位相を分類した.例えば,3次元閉アレクサンドロフ空間Mがアレクサンドロフ曲面Xに崩壊する場合,Mは特異ファイバーとして"区間"または円周が現れるようなX上のある種の"円周"束である事を証明した.この時,MをX上の一般化されたザイフェルト・ファイバー束と名付けた.今回得られた結果は,2000年の塩谷隆氏・山口氏の論文における,断面曲率が一様に下から抑えられた崩壊する3次元閉リーマン多様体の分類結果に対する拡張となっている.アレクサンドロフ空間は一般に多様体であるとは限らず,また多様体であったとしても滑らかとは限らない特異空間である.従って,塩谷氏・山口氏が行った議論を素直には展開できない.具体的には,Xの特異点のアニュラス近傍に対応するM内のアニュラス型近傍U上に得られる2種類の円周束構造をうまく適合させる所に難点があった.そこで,我々は,その2種類のファイバー両者に横断的に交わるようなリプシッツフローをU上に構成し,この点を克服した.このリプシッツフローの存在定理は,もっと一般の設定で証明しており今後の研究に役立つはずである.また我々の分類結果から自明な基本群を持つ3次元非負曲率閉アレクサンドロフ空間の位相の候補を予想として挙げた.これは大変興味深い問題であると思っている.これらの結果は現在プレプリント「Collapsing three-dimensional closed Alexandrov spaces with a lower curvature bound」としてまとめており,間もなく学術雑誌へ投稿する予定である.
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Research Products
(4 results)