2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J05863
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下村 悟 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 多孔性材料 / 金属錯体 / 外場応答 |
Research Abstract |
本研究が目的とする外場応答性多孔性金属錯体は、従来の多孔性材料では実現することが困難であった能動的な吸脱着の制御を可能にするとともに多孔性物質の応用範囲を大幅に拡大することにつながる可能性を持つ。さらに結晶性の多孔性金属錯体が持つ微細で規則的な細孔中での現象を制御することは、ナノオーダーでの分子運動の精密制御につながり、新たなナノテクノロジーの扉を開く画期的な成果となりうる。本年度は昨年度に引き続き光二量化反応が期待されるアントラセンを錯体中に導入することを目的とし、9-アントラセンカルボン酸を配位子とした多孔性金属錯体の合成に取り組んだ。本年度から9-アントラセンカルボン酸を錯体形成前に光二量化反応させ、二量体状態で配位子として用いることでこの問題を解決することを試みた。9-アントラセンカルボン酸の光二量化反応の最適化を行い、錯体合成における配位子として用いることで、亜鉛イオンと3次元構造を有した新規金属錯体の合成に成功した。この錯体は錯体骨格中に溶媒分子を内包する空間を有しており的分子吸着能を持っことが示唆された。この錯体においてアントラセンニ量体部位の、光または熱による単量化反応によって、これまで多孔性金属錯体の分野では行われていなかった外場による構造変換を試みた。結果、熱によって系全体での結晶-結晶転移が見られるのに対し、光によっては結晶表面のみ単量化され、色の変化を示すことを確認した。これらの状態における吸着特性に関しては検討中であるが、変化前と変化後で分子に対する親和性の違いを示す傾向が見られ始めており、外場による分子吸脱着制御に貢献する重要な知見が得られるものと考えている。
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Research Products
(6 results)