2008 Fiscal Year Annual Research Report
格子QCD計算によるカラー閉じ込め機構及びクォークグルーオンプラズマの研究
Project/Area Number |
08J05868
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 義之 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 格子ゲージ理論 / カラー閉じ込め / グルーオン伝搬関数 / ゴースト伝搬関数 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本年度はYang-Mills理論のカラー閉じ込め機構の解明に向け、クーロングージでのグルーオン伝搬関数とゴースト伝搬関数を格子QCDシミュレーションで計算した。 ゴースト伝搬関数に関しては、赤外領域で単極よりも強く発散することが示された。この結果は、これまでに我々が明らかにしてきたカラークーロンポテンシャルが閉じ込めポテンシャルになるという結果とも無矛盾な結果となっている。この計算結果から、カラー閉じ込めにおいてゴーストという非物理的な自由度が重要な役割を担っていることがわかる。これはカラー閉じ込め機構を解明する上で大変重要な結果であり、過去の研究で議論されてきたカラー閉じ込めのシナリオにおいて重要な自由度とされてきたものが、ゴーストのようなゲージ固定に関わる部分から生じる可能性を示唆している。 グルーオン伝搬関数に関しては赤外領域で大きく抑制され、500[MeV]を境に減少に転じることが明らかになった。この結果は過去の理論研究で示唆されていたが、これまでの格子QCDシミュレーションではみられなかった。我々はクーロングージという物理的なゲージをとり、さらに大きな格子で計算することで、赤外領域での抑制を明らかにした。これはSU(3)Yang-Mills理論において初めて示されたものであり、グルーオンの閉じ込めを示唆する結果である。また、ここで計算したグルーオン伝播関数は同時刻での相関関数であり、これが赤外で抑制されるという結果は、有限温度でも同様にグルーオン伝播関数が抑制されている可能性を示唆しており、クォーク・グルーオンプラズマ相を理解する上で有限温度での計算は極めて重要となる。
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Research Products
(3 results)