2010 Fiscal Year Annual Research Report
組合せ疎構造の性質と存在の解明およびその情報理論ならびに計算機科学への応用
Project/Area Number |
08J05897
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤原 祐一郎 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 組合せデザイン / 符号理論 / 量子誤り訂正 / low-density parity-check符号 / 射影幾何 / アフィン幾何 / entanglement-assisted stabilizer formalism / 組合せ疎構造 |
Research Abstract |
組合せ構造内部に現れる疎構造と呼ばれる特徴について,その存在性および非存在性を様々な数学的対象について調べた.前年度までは主にシュタイナー三重系という古典的組合せ構造について研究していたが,本年度においては完全グラフのサイクル辺分解の際に現れる疎構造の性質,low-density parity-check符号内に起こりうる疎構造に似た構造の性質などを中心に据えた. 本年度における最大の研究成果は,量子縺れを利用したentanglement-assisted stabilizer formalismと呼ばれる最新の量子誤り訂正理論の枠組みにおいて,組合せ構造とその内部構造の果たす役割の多くを明らかにしたことである.我々はこの研究結果を実際の符号構成に当てはめることを通し,計算機上のシミュレーションにおいて,これまでに知られていた他のどの量子誤り訂正符号よりも優れた誤り訂正能力をdepolarizing通信路において達成した.もっとも重要な点は,我々の量子符号では理想的量子縺れ状態を仮定するebitをたった1 qubit分用意するだけで済むことである.Ebitの大量使用は量子誤り符号を実装する際の大きな障害になると考えられており,これを必要最小限に止め、なおかつ卓越した量子誤り訂正能力を実現したことには意義があると考えられる. 前述のentanglement-assisted stabilizer formalismに関する研究は,組合せデザイン論における内部構造に関する最新の研究成果と有限幾何学,さらにlow-density parity-check符号に関する符号理論を量子情報理論に当てはめたものであり,離散数学と情報理論および関連する諸分野を有機的に関連づけ幅広く貢献するという目的を十分に果たしたと考える.
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Research Products
(3 results)