2008 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母Lts2/Mug27の機能解析を通じた減数第二分裂の制御機構の解明
Project/Area Number |
08J05904
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大高 彩美 Osaka University, 生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分裂酵母 / 減数分裂 / 配偶子形成 / 前胞子膜 / Spindle pole body / SIN / 膜輸送 / 環境応答 |
Research Abstract |
減数分裂は、生殖細胞を形成する過程であり有性生殖に重要であるが、その制御機構は不明な点が多い。中でも核分裂後の生殖細胞形成における制御メカニズムを理解するには情報が乏しい状態である。申請者は有糸分裂において核分裂後に細胞質分裂を制御する仕組みが、減数分裂においても核分裂後の配偶子形成に関わると予想し、分裂酵母をモデル実験系として解析を行ってきた。分裂酵母では、細胞質分裂を制御するシグナル伝達経路としてSeptation Initiation Network(SIN)が知られており、その構成タンパクの多くが哺乳類細胞まで高度に保存されている。よって申請者はこの経路の最終段階を司るLatsリン酸化酵素ファミリーの減数分裂期での役割について解析し、生殖細胞形成の普遍的なメカニズムを解く手がかりを得ることを目指した。まず、減数分裂特異的に発現するLatsファミリーとして分裂酵母よりmug27という新規遺伝子を単離し、その基本的な性質を解析した。その結果、Latsファミリーが前胞子膜形成という分裂酵母の配偶子膜の再構築過程に必須の役割を持つことを明らかにした。また、Mug27は既知のSINタンパク質とは異なる性質を持っており、そのリン酸化酵素活性が正常な前胞子膜形成に必須であることを示した。一方で、SINに関わるLats2ホモログであるSid2の過剰発現によりmug27変異株で生じる異常を回復できることを見出した。このことからMug27が既知のSINと一部で機能的に協調することが明らかとなり、体細胞分裂と減数分裂におけるLatsリン酸化酵素の役割についてモデルを提唱するに至った【業績1】。本研究は、生殖細胞形成のメカニズムについて重要な知見をもたらしたと考える。
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Research Products
(4 results)