2008 Fiscal Year Annual Research Report
合成化学的アプローチに立脚した電位依存性プロトンチャネルの機能発現機構の解析
Project/Area Number |
08J05963
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 健一郎 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ペプチド合成 / 電位依存性プロトンチャネル / ライゲーション / ペプチドチオエステル / 膜タンパク質 / 脂質二重膜 |
Research Abstract |
電位依存性プロトンチャネル(VSOP)における電位感知領域の構造的特性を解析し、その機能発現機構を明らかにすることを目的とし、本年度はVSOPの化学合成について研究を行った。 VSOP(78-120)、VSOP(121-157)、VSOP(158-222)をそれぞれ固相合成法により調製し、それぞれを縮合することにより機能発現ユニットであるVSOP(78-222)を化学合成することとした。C端にチオエステル構造を有するFmoc-VSOP(78-120)-SR、Fmoc-VSOP(121-157)-SRはBoc法により調製した。無水フッ化水素による最終脱保護の際、これまでには観測されなかった割合(>50%)で保護基の断片がFmoc基に転位し収率を低下させた。この点を改善する必要がある。Fmoc-VSOP(121-157)-SRとVSOP(158-222)をチオエステル法により縮合しFmoc-VSOP(21-222)を得、引き続きFmoc-VSOP(78-120)-SRと縮合することにより4回膜貫通領域を含むFmoc-VSOP(78-222)を得た。生成物はSDS-PAGEにより確認した。これまでに2回膜貫通型タンパク質合成の報告例はあるが、当該研究で行ったような4回膜貫通型タンパク質の合成は初めてである。 今後は化学合成されたVSOP(78-222)を細胞膜中で再構成するため、リポソーム膜中に埋め込んだVSOPをアフリカツメガエルの卵母細胞に直接注射するマイクロインジェクション法を試行する。次にパッチクランプ装置を用いて電位依存的なプロトン電流を観測し、この再構成を評価する。化学合成された膜タンパク質が天然のものと同一の働きをすることを証明できれば、膜タンパク質の解析手法をより柔軟に設計できるようになり、生命秩序形成メカニズムの解明に寄与できると期待している。
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Research Products
(7 results)