2009 Fiscal Year Annual Research Report
野生高等動物に蓄積する潜在的有害物質の検索と毒性同定評価
Project/Area Number |
08J05965
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
鈴木 剛 Ehime University, 沿岸環境科学研究センター, 特別研究員(SPD) (70414373)
|
Keywords | 毒性同定評価 / 野生高等動物 / in vitorバイオアッセイ / 潜在的有害物質 / 化学分画 / 内分泌かく乱化学物質 |
Research Abstract |
本研究では、機器分析と化学分画/各種in vitroバイオアッセイ手法の統合による毒性同定評価アプローチを野生高等動物に適用し、生態系に蓄積している潜在的有害物質の存在やそのプロファイルを網羅的に明らかにすることを目的としている。 平成21年度の研究では、機器分析と化学分画/各種in vitroバイオアッセイ手法を野生高等生物に適用して、アンドロゲン受容体(AR)、Ah受容体(AhR)、エストロゲン受容体アルファ(ERa)、グルココルチコイド受容体(GR)、プロゲステロン受容体(PR)、ペルオキシソーム増殖活性化受容体ガンマ(PPARg)1及びPPARg2のアゴニスト及びアンタゴニスト活性から成る潜在毒性プロファイル情報の取得、また重要な活性に関連する潜在的有害化学物質の同定を実施した。 これまでの成果は、以下の3点から非常に重要性が高いと考えられる。 1.化学分画/各種in vitroバイオアッセイ手法の統合によるTIEアプローチは、野生高等動物に蓄積している内分泌撹乱物質を各活性エンドポイントに応じて包括的に検出することが可能だった。今後モニタリング対象生物や化学物質群を"影響ベース"で考慮・選定する際に本手法は有力なスクリーニングツール・評価手段になると考えられる。 2.同定研究の一例として、DDTの代謝物のp,p'-DDEが主なARアンタゴニスト活性寄与物質として生態系の高次野生動物に蓄積していることを明らかにした。本研究の結果は、化学分析とバイオアッセイの統合によるTIEアプローチを用いて、代謝物を含む多様な活性寄与物質の同定と"影響ベース"での定量評価が、野生動物試料において可能かつ有用であることを示した。 3.生物種によっては、難分解性だけでなく、分解性の潜在的有害物質も生態系の高次捕食者に蓄積する可能性が示唆され、生物種に応じた化学物質リスク評価の重要性が示唆される結果であった。
|
Research Products
(13 results)