2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J05979
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山崎 喜代宏 Kobe University, 大学院・経営学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 技術経営 / 製品開発 / 経営戦略 / 中核技術 |
Research Abstract |
これまでの戦略論において、RBVを中心として、企業が保有する経営資源が競争優位の源泉となり、それを活用する結果として競争優位が構築されるという議論が多くの研究者によって行われてきた。他方、中核的な資源を保有することが、競争優位の構築にとって弊害となることも指摘されている。しかし近年、中核的な経営資源を保有せずとも競争優位を構築する企業が多く見受けられる。本研究では、この中核技術を保有しない企業の優位性に関する論理を構築する。 事例として、デジタルカメラ産業のカシオ計算機、薄型テレビ産業のソニー、家庭用ゲーム機器産業の任天堂の事例を取り挙げた。これらの事例分析の結果、本研究では、2つの発見事項が挙げられる。第一に、3事例に共通したロジックとして抽出した中核技術を保有しない企業の優位性である。その源泉とは、中核技術を保有しないがゆえに環境変化に臨機応変に対応できる柔軟性(経済的優位性)と、既存とは異なる競争要因を見つけ出すことができる独自性(組織的優位性)である。経済的優位性とは、企業のコスト的な要因に着目し、企業外部との関係性を築く中での優位性のことてある。これは中核技術を保有しない企業のコスト面での優位性である。ただし、優位性はコスト的な部分だけではない。コストとは別に、組織的にも優位性を発揮することができる。組織的優位性とは、企業の組織行動上の要因や心理的要因に着目したときに明らかになる企業内部の意志決定・行動やモチベーションによる優位性のことである。この2つの優位性を享受することによって、中核技術を保有しない企業は優位性を構築する可能性があると主張する。第二に、3事例の相違として、研究対象製品以前の製品開発の歴史までを分析することで、企業の製品開発の歴史が、研究対象製品の開発に与える影響を明らかにした。そして、同じ中核技術を保有しない企業であっても、中核技術の非保有から発生する優位性の追求の志向パターンは異なることを発見した。
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Research Products
(6 results)