2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J05990
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
浦山 健太郎 Tokyo Metropolitan University, 人文科学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | フランス / 演劇学 / 文学研究 / 障害者像 |
Research Abstract |
本年度は、主に、フランス社会における障害者観の変化と演劇作品中の障害者像との連関について研究を行った。フランスにおいて、障害者へのまなざしが大きな変化を見せるのは十八世紀後半から十九世紀にかけてのことである。十六世紀以来、西ヨーロッパで蓄積された障害者の教育可能性についての議論が実践と結びつき、聾唖者や盲人といった障害者のための教育施設が相次いでフランスに設立される。障害者が教育可能な対象として認識され、障害者の社会参加への道が徐々に開かれ始めるのである。一方で、演劇作品に登場する障害者の描かれ方も、十九世紀に入ると大きな変化を見せる。中世演劇以来の道化者的な障害者像が影を潜め、社会的弱者としての障害者像が中心を占めるようになるのである。本研究は、以上のことに着目したうえで、十八世紀後半から十九世紀にかけて出版された障害者に関係する文献や、この分野に関する研究書を調査・分析し、この時代に形成された新たな障害者像が、劇作品中の障害者像にどのような影響を与えているか、あるいは影響を与えていないかを検討した。この内容は、現在執筆中の博士論文の中にまとめられる予定である。また、前年度、中心的に研究を行った劇作品中の聾唖者像について論文を執筆し(L'enfant sourd-muet sur scene: la dramaturgie de l'infirmite dans L'Abbe de l'Epee)、『人文学報』No.436に発表した。
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Research Products
(1 results)