2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒカゲノカズラ科植物を素材とする新しい機能性分子の探索と生合成経路の解明
Project/Area Number |
08J06039
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石内 勘一郎 Hokkaido University, 大学院・生命科学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アスヒカズラ / HMQCスクリーニング / lycopladine H / lyconadin C / C-H…Nの弱い水素結合 / lyconadin D / lyconadin E / lyconadin F / lyconadin G / 量子化学計算 |
Research Abstract |
北海道名寄にて採取したアスヒカズラの全草より得たアルカロイド画分をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて分離した。得られた粗画分に対し、今回新たに迅速な新規アルカロイドの探索法として考案したHMQCスクリーニングを適用し、さらにシリカゲルカラム、FL100Dカラム、アミノシリカゲルカラム、逆相HPLCの分離法を種々組合わせて分離精製を進めた結果、6種の新規リコポジウムアルカロイドlycopladine Hおよびlyconadin C-Gを単離した。各種二次元NMRにより詳細な構造解析を行った結果、lycopladine Hは、azocane環、[2,2,2]-bicyclooctane環、3-piperidone環から構成される新規四環性のアルカロイドであることが明らかとなった。Lyconadin Cは、decahydroquinoline環、cycloheptene環、α-pyridone環から構成される新規四環性のアルカロイドであり、既知化合物lyconadin Aの直接の生合成関連化合物として初めての例である。また、lyconadin Cは、分子内でC-H…Nの弱い水素結合を形成していることが、量子化学計算より示唆された。Lyconadin Dは、既知化合物fastigiatineのdes-N-acetyl、C-1ケト体であり、アスヒカズラからfastigiatineタイプの骨格を有するアルカロイドが単離されたのは、今回が初めての例である。また、lyconadin Eはlyconadin Dのdes-N-methyl体である。Lyconadin Fは、既知化合物lyconadin BのC-5-N-1の結合が開裂した新規四環性アルカロイドであり、末端アミドを有するリコポジウムアルカロイドが単離されたのは、今回が初めての例である。また、lyconadin Gは、既知化合物lyconadin Bの4,5位が飽和となり5位に水酸基が結合した新規アルカロイドであり、分子内にヘミアミナール構造を有しており、lyconadin Fと互変異性体の関係にあることが^1H-NMRより明らかとなった。Lycopladine Hおよびlyconadin C-Eは、量子化学計算よりその構造を絶対配置まで帰属した。また、lyconadin FおよびGは、既知化合物lyconadin Bとの化学相関により絶対配置まで帰属した。リコポジウムアルカロイドの絶対配置の帰属に量子化学計算を導入したのは、今回が初めての例である。
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Research Products
(4 results)