2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06065
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小澤 信 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 火星隕石 / 月隕石 / 年代測定 / 高圧鉱物 |
Research Abstract |
(1)火星隕石の年代測定 三つの火星隕石(Shergotty,Zagami,NWA2737)に含まれるバデレアイト(baddeleyite;化学組成ZrO2)という難揮発性鉱物のウラン-鉛年代測定を行った。今回の測定では、Shergottyに含まれるバデレアイトの中に先行研究で報告されているような若い年代値を持つ粒子の他に、30億年前以前とう古い年代値をもつ粒子も存在することが新たに分かった。この結果は、火星隕石の結晶化年代、つまり火星において火成活動がいつまで続いていたか、という問題を考える上で重要である。NWA2737に含まれるバデレアイトからは、16億年前という年代値が得られ、この結果は先行研究の結果と調和的であった。 (2)星石隕石、月隕石の観察 六つの火星隕石(DaG735,NWA480,NWA856,NWA1068,ALH77005,Y984028)と2つの月隕石(Asuka881757,Y-793274)の観察、鉱物同定、化学組成分析を行った。玄武岩質シャーゴッタイトに分類される四つの隕石(DaG735,NWA480,NWA856,NWA1068)からは天体衝突によって生じた様々な高圧鉱物が確認された。一方、レルゾライト質シャーゴッタイトに分類される二つの隕石(ALHA77005,Y984028)からは、高圧鉱物が確認されなかった。この結果は、これら二つのグループに属する隕石が異なる天体衝突履歴を持っていることを示唆している。また、月隕石Asuka881757からは、コーサイト(coesite)と呼ばれる石英の高圧相が確認された。
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