2009 Fiscal Year Annual Research Report
安定・放射性同位体をプローブとする温鉱泉の地球化学的研究:油田塩水のラジウム異常
Project/Area Number |
08J06070
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
富田 純平 Kanazawa University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ラジウム同位体 / Na / Cl型地下水 / 地下深部 / 油田・ガス田 / 岩石-水境界 / α-recoil / トリウム同位体 / 収〓-脱離反応 |
Research Abstract |
本研究は、地下深部塩水環境における天然放射性核種、特にRa同位体の挙動解明を目的としている。具体的には、主に500mを超える掘削により得られたNa-Cl型地下水(温鉱泉水)を広域において採取し、地下水中のRa同位体・U同位体、主要溶存成分、水素・酸素同位体を測定からRa同位体濃度の支配因子を明らかにすること、および掘削岩石中のU・Th・Ra同位体分析および抽出実験を行い、地下深部におけるU・Th・Ra同位体の輸送メカニズムを考察することである。地下水中のRa同位体濃度の支配因子を明らかにするために、本年度は北海道においてNa-Cl型地下水を採取し、Ra同位体、主要溶存成分を測定した。その結果、<226>^Raを約5000mBqkg^<-1>含む、海水よりも濃い塩濃度を有する地下水が見出された。また、地下水中の<226>^Ra濃渡は、塩濃度が増加するにつれて増加する傾向があり、Ra同位体濃度の支配因子として、塩濃度の重要性が示唆された。一方で、高い<228>^Ra/<226>^Ra放射能比を説明し得るRa同位体の輸送メカニズムを考察するために、富山県氷見で得られた掘削岩石の抽出実験を行った。この井戸から得られた地下水の<228>^Ra/<226>^Ra放射能比(9-12)は、岩石のバルク<232>^Th/<238>^U放射能比(0.2-23)よりも高いという特徴がある。希塩酸抽出の結果、帯水相部と推測される岩石の抽出相において、地下水の<228>^Ra/<226>^Ra放射能比と同程度の高いTh系列合U系列(<232>^Th/<238>^U,<232>^Th/<230>^Th,<228>^Ra/<226>^Ra)放射能比を得た。飽和食塩水抽出実験の抽出相においても、地下水の<228>^Ra/<226>^Ra放射能比と同程度の高い<228>^Ra/<226>^Ra放射能比が得られ、酸に比校的溶けやすい相に存在するTh(U)同位体が、地下水中のRa同位体の起源であることを示唆する結果を得た。
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Research Products
(8 results)