2010 Fiscal Year Annual Research Report
コンディショナルノックアウトマウスを用いた骨リモデリング制御機構の解析
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08J06080
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小澤 綾子 (末松 綾子) 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | コンデショナルノックアウトマウス / 骨リモデリング |
Research Abstract |
骨の恒常性は「骨リモデリング」と呼ばれる骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収のバランスにより維持されていが、どのように骨吸収が始まり、骨形成が完了するかは未だ不明な点が多い。この制御機構を解明する糸口として、骨細胞が注目されている。骨細胞は他の骨組織と接触し、細胞間ネットワークを形成しているため、骨リモデリングを制御している可能性が示唆されているが、その詳細は不明である。TAK1はMAPKKKの一つであり、炎症誘導と細胞生存シグナル伝達経路の主要因子であるが、TAK1ノックアウトマウスは胎生致死となるため、骨組織でのTAK1の役割は不明な点が多い。そのため、組織の各細胞特異的なTAK1の骨リモデリングへの役割を解明することは生命科学を理解する上でも重要である。これまでに、破骨細胞特異的にTAK1を欠損させたコンディショナルノックアウトマウスは骨量が増加することを見出した。また、破骨細胞分化過程において、TAK1は従来考えられていたNF-κBを制御するのではなく、CBPのリン酸化を介して破骨細胞分化マスター因子であるNFATc1転写活性を促進することを明らかにした。そこで、TAK1によるCBPのリン酸化はどの部位を介して行われているかを検討した結果、新規のリン酸化部位が同定された。さらにそれらリン酸化部位のdominant negativeを作製し検討した結果、CBPリン酸化部位のdominant negativeによりNFAT転写活性およびCBPとの結合が抑制された。これらのことから、TAK1下流でCBPが新規リン酸化部位を介してリン酸化され、NFATc1の転写活性を制御する骨リモデリングの新たな作用機序が明らかとなった。
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Research Products
(1 results)