2008 Fiscal Year Annual Research Report
琉球語宮古方言群の調査・記述 -記述の少ない危機言語の記録・保存と基礎的研究-
Project/Area Number |
08J06104
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 由華 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 危機言語 / 琉球語 / 調査言語学 |
Research Abstract |
本研究は、琉球語の下位区分である宮古諸方言について、記述・記録を行うことを目的としている。琉球語は現在そのほとんどの話者が高齢者であり、10-20年のうちに使用されなくなる可能性が高く、消滅する前に早急な調査・研究がなされることが望まれている。琉球語の研究においては、これまで標複数箇所をそれぞれ短期で調査するスタイルが主流であった。さらに、扱う現象もごく限られていたため、ほとんどの方言について、その言語の体系が明らかになっていない。しかし、ある言語の全体像を把握することはその言語の部分的な研究を行う上でも大変重要である。この状況を踏まえ、本研究では、一箇所滞在型の現地調査を行い、ひとつの方言についてのより深い記述とデータを残している。 本研究では2年の研究期間のうちの目標として下記をあげているが、本年度はそれぞれについて十分に研究を進展させた。 1)琉球語宮古諸方言の一つである池間方言を軸とした宮古方言全体の言語学的記述 2)宮古の言語と文化に関する自然談話を中心としたデータを蓄積し、研究者および一般向けに公開するためのデータベースシステム構築とコンテンツの作成 1)については、宮古池間方言のミニグラマーを作成し、その概要を把握した。また、特に当該方言において特異でかつ研究の進んでいない音韻現象を中心に調査をすすめ、機器分析の手法と取り入れるなどして、研究を大いに発展させている。 2)については、言語調査のための数十時間に及ぶ自然談話やその他の資料を収集しつつ、分野の異なる研究者や京都大学デジタルコンテンツ作成チームとの協力関係のもと言語学調査をする目的で採集したデータを文化的コンテクストの中に再構築して見せるという試みに参加し、池間方言のことばと文化についてのデジタルコンテンツを作成した。
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Research Products
(7 results)