2008 Fiscal Year Annual Research Report
キチン受容シグナルをHR細胞死誘導シグナルに変換するキメラ受容体の創出とその利用
Project/Area Number |
08J06128
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
岸本 久太郎 National Institute of Agrobiological Sciences, 植物・微生物間相互作用研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | CEBiP / Xa21 / 過敏感応答 / 細胞死 / イネ / 病害抵抗性 / イネいもち病菌 |
Research Abstract |
研究目的 イネ植物のMicrobe-Associated Molecular Patterns(MAMPs)シグナル伝達経路を人為的に改変することで、菌類病抵抗性の亢進を試みた。 研究内容 イネのキチンオリゴ糖受容体(CEBiP)と過敏感応答(HR)を制御する受容体型キナーゼ(Xa21)を融合したキメラ受容体(CRXa)を用いて、イネにキチン依存的なHRを誘導させることを試みた。分子設計の異なる6種のCRXa(CRXa1〜6)をイネカルスに導入したところ、CRXa1及び3カルスでは、キチンエリシター(GN7)処理後の活性酸素産生や細胞死誘導がベクタコントロールよりも有意に増加しており、GN7誘導的なHR誘導が認められた。CRXa1及び3導入イネでは、GN7処理した葉に特異的な壊死斑形成がおこり、イネいもち病菌に対する抵抗性が亢進した。一方、イネごま葉枯れ病菌やイネ白葉枯病菌に対する抵抗性の亢進は認められなかった。 本HR誘導に伴う特異的な遺伝子発現及びタンパク質リン酸化を、それぞれマイクロアレイと全タンパク質の二次元電気泳動後のプロQダイヤモンド検出により網羅的に解析した。 研究成果(意義や重要性など) 菌類病菌にほぼ普遍的なMAMPsであるキチンのシグナル伝達経路を改変することで、HR細胞死をイネに誘導させ、いもち病抵抗性を亢進させることに成功した。このシステムは、広範な種類の菌類病抵抗性に寄与する可能性を持つ。一方、腐生環境を好む殺生菌やキチンをもたない細菌病菌には有効な方法ではないことも示された。また、培養細胞系でGN7処理により容易にHRを誘導できるシステムを構築したことにより、HR特異的な遺伝子発現やタンパク質リン酸化パターンの解析が可能になった。これらの成果は、今後のHR誘導機構の分子生物学的な解明への応用が期待できる。
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Research Products
(4 results)