2008 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナムの地方幹部のライフヒストリー調査に基づく社会主義と近代行政の人類学的研究
Project/Area Number |
08J06155
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
加藤 敦典 Nanzan University, 人文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 民族誌 / ベトナム / 地方幹部 / 文化人類学 / ライフヒストリー / 小規模金融 / 開発 / 政策 |
Research Abstract |
1.ベトナム地域研究者らとの研究打ち合わせ等を通じて、地方幹部へのライフヒストリー調査を実施する準備を進めた。国内では、桃木至朗(歴史学)、住村欣範(文化人類学)、古田元夫(現代政治史)、岩井美佐紀(社会学)らと意見交換した。また、9月には、ベトナム・ハノイ市を訪問し、ハノイ国家大学ベトナム学=開発科学院長Nguyen Quang Ngoc、および同大学副学長Vu Minh Giangと面会し、調査とその成果還元の方法について打ち合わせした。また、ハノイ国家図書館では、地方幹部の個人史に関する資料として、ベトナム戦争中の傷病兵の手記を収集した。国立第三文書館では、地方幹部養成に関する文書目録を作成した。 2.以下の研究報告と論文執筆をおこなった。日本文化人類学会研究大会では、研究発表「開発の受容課程における『外国の厳格さ』の実演」をおこない、国際援助機関が主導する小規模金融事業における住民リーダーの役割を論じた。また、雑誌『南山考人』に論文「『文化的むら』をめぐる『騒ぎ』」を投稿した。ここでは、「文化的むら」の称号授与をめぐる行政と住民のあいだの意味解釈のずれを分析した。上記2論文は、開発の媒介者としての地方リーダーの役割に関する詳細な事例研究として重要な意義をもつ。また、2009年3月には、論文『統治のモラルの民族誌』により、大阪大学人間科学研究科より博士号を授与された。そのほか、国際シンポジウム"International Conference on the Anthropology of Vietnam"(於ベトナム、平成19年12月)での報告をもとに、トロント大学教授Luong Van Hyによる編著に、論文「政策の多声性--ハティン省農村地域における小規模金融プロジェクトの理解の過程」(ベトナム語、印刷中)を寄稿した。
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Research Products
(3 results)