2009 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナムの地方幹部のライフヒストリー調査に基づく社会主義と近代行政の人類学的研究
Project/Area Number |
08J06155
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
加藤 敦典 Nanzan University, 人文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 民族誌 / ベトナム / 地方幹部 / ライフヒストリー / リーダーシップ / 政治文化 / 文化人類学 |
Research Abstract |
ベトナムについて研究する研究者らとの意見交換と文献調査を通じて、ベトナムの地方幹部のライフヒストリーを聞き取る準備を進めた。まず、国立国会図書館関西館で『軍隊文芸』誌(ベトナム語)などを調査し、地方幹部のライフヒストリーに関連する文献(戦記文学など)を集めた。次に、東京外国語大学の今井昭夫教授と面会し、彼がおこなってきたベトナムの退役軍人のライフヒストリー調査について話を聞いた。また、8月には、ベトナム・ハノイ市を訪問し、ベトナム学・開発科学院院長Nguyen Quang Ngoc教授、ホーチミン国家政治学院Hoang Chi Bao教授、社会科学院Pham Xuan Dai教授らと面会し、インタヴュー調査の進めかた、研究成果の還元方法およびベトナムの行政改革と地方幹部養成の現状について話を聞いた。そのうえで、8月および11月-12月にベトナム中部のハティン省のむらで地元の歴代共産党書記や歴代婦人会会長など計11名からライフヒストリーを聞き取った。平成22年1月以降は、優秀若手研究者海外派遣制度のもと、カナダのトロント大学の人類学部に在籍中である。同学部のLuong Van Hy教授の指導のもと、インタヴューの記録を整理している。平成22年2月には、トロント大学アジア研究所にて、"Avuncularity : Morality of Vietnamese Local Cadres in the Age of Self Governance"と題する報告をおこなった。そのほか、大阪大学COE「コンフリクトの人文学」主催の国際会議"Reframing Development : Post-Development, Globalization, and the Human Condition"と日本文化人類学会近畿地区懇談会で研究報告をおこなった。出版物としては、『コンフリクトの人文学』第2号に幡谷則子・下川雅嗣編『貧困・開発・紛争-グローバル/ローカルの相互作用』の書評が掲載された。そのほか、石田慎一郎編『オルタナティヴ・ジャスティスの世界的動向』(仮題)、および、小長谷有紀編『文化としての社会主義』(仮題)に、ベトナムの村落における裁判外紛争調停に関する論文を寄稿した。
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Research Products
(4 results)